Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
自分でも夢のようで、何がなんだか判らない。
(弥三郎は疑惑に鎖されて、空しく溜息をついている。下のかたより源五郎を先に、五平と寅蔵出づ。)
源五郎 合図の呼子がきこえたが……。
五平 鉄砲の音も聞えたぞ。
寅蔵 何でもこっちの方角であった。
弥三郎 (内より呼ぶ。)おい、ここだ、ここだ。
(その声を聞きて、三人はどやどやと内に入る。)
源五郎 狼を見つけたのか。
弥三郎 狼は……この通りだ。
(三人は覗いておどろく。)
源五郎 これはお前の女房ではないか。
五平 むむ。おいよさんだ。おいよさんだ。
寅蔵 お前がおいよさんを撃ったのか。
源五郎 一体どうしてこんな間違いをしたのだ。
弥三郎 それがおれにも判らない、たしかに狼のすがたに見えたから撃ったのだが……。駆けつけて見ると、この始末だ。いくら俺が慌てていても、自分の女房を狼と間違えて撃つと云うことがあるものか。なんだか狐にでも化かされているようだ。
(このあいだに、源五郎は何か思い当るように思案している。)
五平 なるほど弥三郎どんの云う通り、人間と狼を間違える筈は無さそうだ。
寅蔵 併しこのおいよさんが狼に見えたというのが不思議だな。