Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Read 伸子 (のぶこ) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 232,543 characters · 466 screens
「若い頃の気むずかしかったことと云ったら! 伸ちゃんなんか知らないさ。……だけれども、まああれで、父様もごく純な人だったから持って来たのだね。それでなかったらお前……今になって、いろいろ男の人を見ると、つくづくそう思うよ……佃なんかとは比べものにならない純粋さがあったよ、確かに」
だんだん形になって来る絵を眺めながら聞いていた伸子は、女らしく自分の夫自慢をする母の調子の朗かさに愉快を感じた。だがほんのぽっちり、極くぽっちり、侘しくないこともない。――伸子は、自分が姉になって、妹の罪のない夫自慢をきいているような劬り心になった。
「……まあ何ね、父様があれだけ愛していらっしゃることが確かだから、母様もいろいろ強そうにしていらっしゃれるようなものね。土台が大丈夫だから、安心してその上で跳ねられる……そうじゃあないこと?」
「さあね……そんなものかね」
階下で、二人は茶をのんだ。空也の話をしていると、どうかして喉がいらつき、伸子は顔を顰めて咳払いをした。すると茶飲茶碗を口のそばへ持って行きかけていた多計代が、手を止め、じろりと伸子を見た。
「おや、そっくりだこと!」