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かしとそのきょく

信時潔音楽随想集 バッハに非ず

信時 潔

Read 信時潔音楽随想集 バッハに非ず (かしとそのきょく) by 信時 潔 (のぶとききよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,387 characters · 18 screens

Aozora Bunko

復古調の五・七で通すやり方は、ゆっくり詠嘆的にうたうには適するが、ぐんぐんうたい進める曲には向かないようだ。作詞者が五七調を選ぶ場合、緩徐な伝統的詠法のイメージがはたらくこともあろう。なお五七調で貫いたように見える歌でも、初めの五が孤立し、そのあとは実は七五ではこんでいることも少なくない。そんな時には曲の方の作りに迷うが、日本の詩句の切れ目ははっきりコンマやピリオッドが打てないような不即不離のものが多く、それが修辞上の面白味ともなっているから、作曲もそれに順応すべきであろう。

そのほか作曲上当面する問題として、歌詞が仮名書きにして七とか五になっていても、その中の二音を発音すると一音のようになるのがある。促音やある種の漢字が使われている場合がそれである。促音はふしにする時、音の高さをかえるとうたいにくい。それがふしの動きを制限する。第一節で促音のある個所に、他の節では必ずしも促音は使われていない。そのためその個所のふしは前節の促音に制約される。勿論これは同じふしで後の節をうたう場合の話であるが、そんな困難はほかにも沢山ある。そんな事情のためか邦楽ではストローフェンリードが少なく、流して作る通作が原則となっている。