Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
Read 出家とその弟子 (しゅっけとそのでし) by 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 121,812 characters · 248 screens
何が自分の心のほんとうの願いかということも、すぐにはわかるものではない。さまざまな迷いを自分でつくり出すからな。しかしまじめでさえあれば、それを見いだす知恵が次第にみがき出されるものだ。
唯円 あなたのおっしゃる事はよくわかりません。しかし私はまじめに生きる気です。
親鸞 うむ。お前には素直な一向な善い素質がある。私はお前を愛している。その素質を大切にしなくてはならない。運命にまっすぐに向かえ。知恵は運命だけがみがき出すのだ。今はお前は年のわりに幼いようだけれど、先では大きくなれるよ。
唯円 さっき私は知応殿にしかられましてな。
親鸞 なんと言って。
唯円 私がさびしいのは信心が足りないからだと言うて。仏様の救いを信ずるものは法悦がなければならぬ。その法悦は救われている証拠だ。踴躍歓喜の情が胸に満ちていればさびしい事はない。さびしいのは救われていない証拠だとおっしゃいました。
親鸞 ふむ。(考えている)
両人しばらく沈黙。本堂より、鐘の音読経の合唱かすかに聞こえて来る。
唯円 お師匠様、あの(顔を赤くする)恋とはどのようなものでございましょうか。
親鸞 (まじめに)苦しいものだよ。