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しょかのふしぎ
初夏の不思議
小川 未明
Read 初夏の不思議 (しょかのふしぎ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 3,669 characters · 8 screens
太陽の暖かな光のために、薬は流れて、大きなすいかを金色に染めてしまいました。
小僧は、あっけにとられて見ていました。すると、不思議にすいかの傷口は、ふさがってわからなくなってしまったのです。
女は、これを見て、言葉が出なく、ただぼんやりしていました。
「このすいかを食べた人は長生きします。今晩、このすいかを夜店に持って出ると、きっと値がよく売れますよ。」と、薬売りはいいました。そして、若い薬売りは、あちらにいってしまいました。
薬売りも八百屋の小僧もいなくなってから、女は、ほんとうに不思議なことがあるものだと考えました。
「あの薬売りは、いつもくる薬売りと顔がちがっていたようだ。今日の薬売りは、神さまか仏さまにちがいない。それでなくて、どうして、あのすいかの傷がなおったろう。たしかに、私の目には、傷口がふさがったように思われた。」と、ひとり女はつぶやきました。
それから、女は、薬を塗って、すいかの傷口がなおるものかと、二、三人の人々にたずねますと、みんな大きな口を開けて、
「おまえは、きつねにばかされているのではないか。」といって笑いました。それで、女はますます驚いてしまいました。