Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Read 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,262 characters · 243 screens
「それは少し無理だろう」
「三つの時教会へ行ったことを覚えている偉人がある」
「名前はまた度忘れだろう」
久子夫人は見るに見兼ねたのか、権力を示す為めか、
「あなた、そう一々変なことを仰有るものじゃありませんよ。失礼じゃございませんか?」
と注意した。
「牧師さんがお母さんに『こんな小さいお子さんを何故こういう人込みの中へつれてお出になるんですか?』と咎めるように訊いたら、お母さんは『この子は家にいると泣きますが、あなたのお説教が分ると見えて、少しもむずからずに拝聴しています』と答えた。この問答までチャンと覚えているんだから豪い。しかし誰だったか、名を逸してしまった」
「今度は逸したのか? 別の言葉を使って誤魔化しても、矢っ張り忘れているんだから、君は偉人の資格がないよ」
「常盤御前の乳房を含んでいる頃に雪の中で助けてくれた弥平兵衛宗清という武士の顔を覚えていたのは牛若丸後に、源義経だ」
「常盤御前なら牛若さ。小学生でも知っていらあ」
「その昔、母常盤の懐に抱かれ、伏見の里にて雪に凍えしを、汝が情をもって親子四人が助かりし嬉しさ。その時に我れ三歳なれども、面影は目先に残り、見覚えある眉間の黒子、隠しても隠されまじ」