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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 290,735 characters · 566 screens
のだ、また俗に竜宮と呼ぶ蜃気楼も蜃の所為とした、蜃は蛇のようで大きく腰以下の鱗ことごとく逆に生えるとも、竜に似て耳角あり背鬣紅色とも、蛟に似て足なしともありて一定せず、蜃気楼は海にも陸にも現ずる故最寄最寄で見た変な動物をその興行主が伝えたので、蜃が気を吐いて楼台等を空中に顕わすを見て飛び疲れた鳥が息みに来るを吸い落して食うというたのだ(『類函』四三八)。また月令季秋雀大水に入って蛤となり孟冬雉大水に入って蜃となる、この蜃は蛤の大きなものだ、欧州中古石が鳧になると信じわが邦で千鳥が鳥貝や玉に化すと言うごとく蛤類の肉が鳥形にやや似居るから生じた迷説だが、邦俗専ら蜃をこの第二義に解し蛤が夢を見るような画を蜃気楼すなわち竜宮と見るが普通だ。
「第6図」のキャプション付きの図
第6図
インド、アラビア、東南欧、ペルシア等に竜蛇が伏蔵を守る話すこぶる多い、伏蔵とは英語でヒッズン・トレジュァー、地下に匿しある財宝で、わが邦の発掘物としては曲玉や銅剣位が関の山だが、あっちのは金銀宝玉金剛石その他最高価の珍品が夥しく埋まれあるから、これを掘り中てた