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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 290,735 characters · 566 screens
第九章)。紀州田辺近き上芳養村の俗伝に弘法大師筆を馬蓼の葉で拭うた、自来この草の葉に黒斑失せずとて筆拭草と呼ぶ、『淵鑑類函』二四一に『湘州記』いわく〈舜蒼梧の西湖に巡狩す、二妃従わず、涙を以て竹を染む、竹ことごとく斑となりて死するなり〉、また『博物志』に〈洞庭の山帝の二女啼き、涕を以て竹に揮い竹ことごとく斑なり、今下雋に斑皮竹あり〉、わが邦の虎斑竹のごとく斑ある竹を堯の二女娥皇と女英が夫舜に死なれて啼いた涙の痕としたのだ、英国などの森や生垣の下に生える毒草アルム・マクラツムはわが邦の蒟蒻や菖蒲とともに天南星科の物だ、あちらで伝うるはキリスト刑せられた時この草磔柱の真下に生えおり数滴の血を受けたから今はその葉に褐色の斑あると(フレンド『花および花譚』巻一、頁一九一)。英国ダヴェントリー辺昔嗹人敗死の蹟に彼らの血から生えたという嗹人血なる草あり、某の日に限りこれを折ると血出ると信ぜらる、これは桔梗科のカムバヌラ・グロメラタ(ほたるぶくろの属)の事とも毛莨科のアネモネ・プルサチラ(おきなぐさの属)の事ともいう(同上、頁三一五。一九一〇年十二月十七日『ノーツ・エンド・キーリス』