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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 290,735 characters · 566 screens
『本草綱目』に虎皮を焼いて服めば卒中風を療す、また瘧疾を治し邪魅を避くと出づ。『起居雑記』に虎豹の皮上に睡れば人の神を驚かしむとある由。予往年大阪の老いた薬商に聞いたは、虎皮上で竜虎采戦の秘戯をすると二人とも精神茫空す熊胆を服めば本復すと。どうも啌らしいから自分試して実否を験せんと毎度望むが、虎皮が手もとにないから事遂げぬ。読者中誰か貸してくれぬかしら。虎膏は狗噛瘡を治し、下部に納れば痔病で血下るを治し、内服せば反胃を治し、煎消して小児の頭瘡白禿に塗ると『本草』に見ゆ。宜しく行って見なさい。だが虎膏は皮より一層むつかしい尋ね物だ。昔仏王舎城に在せし時、六群比丘、獅虎豹豺羆の脂を脚に塗り象馬牛羊驢の厩に至る。皆その脂臭を嗅いで覊絆を托驚走す、比丘輩我大威徳神力ある故と法螺吹き諸居士これを罵る。猟師の習い悪獣の脂を脚に塗り畜生をして臭いを聞いで驚き走らしむるのだ。仏これを聞いてかかる事した比丘を突吉羅罪とした(東晋訳『十誦律毘尼序』巻下)。
アイモニエー曰く、猫往昔虎に黠智と躍越法を教えたが特り糞を埋むる秘訣のみは伝えず、これを怨んで虎今に猫を嫉むとカンボジアの俗信ずと。