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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
十二輯六巻二三八頁、クレメンツ氏説)。故に、彼方の紋章を画くに、多くは材木を添えある。
ついでにいう。享保三年板西沢一風作『乱脛三本鑓』六に、小鼓打ち水島小八郎、恩人に頼まれた留守中その妻を犯さんとして遂げず、丹波の猪野日村に旧知鷹安鷲太郎を尋ねる。鷲太郎山より帰り小八郎を見て、京へ登りしよりこの方文一本くれぬ不届者、面談せば存分いいて面の皮を剥ぐべしと思いしが、向うししには矢も立たず、門脇の姥にも用というを知らぬ人でもなし、のふずも大方直る年、まず何として来るぞと問う。アラビヤ人の常諺に、信を守る義士は雄鶏の勇、牝鶏の察、獅子の心、狐の狡、の慎、狼の捷、犬の諦め、ナグイルの貌と、野猪の奮迅を兼ね持たねばならぬといったごとく、断じて行えば鬼神もこれを避くで、突き到る野猪の面には矢も立たぬという意かと思うたが、それでは通じない例が多いようだ。最近に、享保十八年板『商人軍配団』四を見ると、向う猪に矢が立たぬとて、直ちに歎かば、鬼のような物も、心の角を折るものなりとありて、原意は、ともかく、当時専ら謬り入って来る者を、強いて苦しめる事はならぬという喩えに用いたと見える。