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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
はえらい、さてもえらい物じゃといい出して大阪中の噂になり、後日本国で今はえらいという俗言が一つ出来せし由、しかれば古き喩えはいずれも故実のある事、今様の俗言も何なりと拠のある事ならん云々」と見える。この本を出版と同年に書いたと見て繰り合すと安永五年より四十九年前は享保十二年に当る。その年より前に果してえらいてふ語がなかったか知らぬが、魚のえらからエライという形容詞を転成するような事も世間にないと限らず。殊に京の人をまねて田舎にチャッチャムチャクなる語がはやり出したとはありそうな事で、高橋入道の討ち死にがこの辺で大抵の人に通用すると同例だから、俗語の根源と伝播は当身確かな記録があるにあらざれば正しく説き中る事すこぶる難い。これを強いて解きに掛かるより豕がオルガンを奏すてふ俚語におけるごとく、諸説紛々たるも今にんでいずれが正解と判断し能わぬ。
『日本紀』七に日本武尊東征の帰途、毎に水死した弟橘媛を忍びたもう。故に碓氷嶺に登りて東南を望み三たび歎じて吾妻はやといった。爾来東国を吾妻の国というと見える。故浜田健次郎氏か宮崎道三郎博士かの説に、韓語で日出をアチムというから推して本邦上古日出をアツマといったと知れる。