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じゅうはちじょうおつ

十八条乙

山本 周五郎

Read 十八条乙 (じゅうはちじょうおつ) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,127 characters · 26 screens

Aozora Bunko

騒ぎはおさまり、家中は平穏になった。見廻りに来る与力の話によると、萩岡左内一派によって処罰された者は許され、放国された者は帰藩した。友三郎の生家である原田では、食禄を加増されたということであった。だが、西条家は忘れられたように、ぜんぜん音も沙汰もないのだ。庄兵衛はおちつかなくなり、怒りっぽくなった。交代した重職たちは気がつかないということもある。だが伊原が忘れるということはない筈だ。

「ことによると忘れたのかな」庄兵衛はなんどもそう云っては首をかしげた、「騒動のあと始末もあるし、新任の役目に追われて、つい忘れているということも考えられる、とにかくいちど手紙をやってみようか」

庄兵衛は伊原に宛てて手紙をやった。五日待ち、十日待ったが、返辞もないしたずねて来るようすもなかった。庄兵衛は自分のもとの上役である城本内蔵助に訴状を出した。しかし、訴状は封のまま戻され、戻す理由さえわからなかった。次に与力が見廻りに来たとき、彼は大目付の手から城代家老に渡してくれるようにと、訴状を託した。そのとき知ったのだが、交代した城代家老は安倍頼母といい、江戸から赴任した人物だそうで、このときの訴状は「閉門蟄居ちゅうの者が訴状を出すことはできない」