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ゆうじんいっかのし
友人一家の死
松崎 天民
Read 友人一家の死 (ゆうじんいっかのし) by 松崎 天民 (まつざきてんみん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,805 characters · 14 screens
僕達はこんな事を云って、ボツボツ来始めた人達を案内しているところへ、自動車で駈け付けたのは、泉鏡花、喜多村緑郎、久保田万太郎などの諸氏であった。続いて錦城斎典山の顔が見えたり、伊井蓉峰、福島清、花柳章太郎などの姿が、幹事室の前に現れたりした。
川村菊江、桜井八重子など、女優の顔も見えたようであった。赤坂、新橋、柳橋、浅草の芸妓達も、四五人ずつ連れ立って出席した。
K君――僕はこの時、久し振りに、泉鏡花氏と逢って、怪談以上の或る悲しい事実を聴いた。
僕は今それを、君に宛て書き送ろうと思う。
○
鏡花氏と僕とが、初対面したのは、「風流線」を藤沢、喜多村が本郷座に上演した時か、それとも芝の紅葉館で、第何回目かの紅葉祭を催した時か。今たしかには覚えていないが、兎に角、途中で逢っても、「今日は」「や何処へ」と云う位の知合にはなっていた。
その鏡花氏に逢って、僕が先ず聞いたのは、今井君夫妻の忘れ形見の身の上なのであった。
「去年でしたか、上京してお宅に居ると云う端書をくれた限りで、無沙汰しているのですが、今は何うしていますでしょう。一度お宅へ伺って、今井の娘にも逢おう逢おうと思っていながら、つい御無沙汰していましたが…………」