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ゆうじんいっかのし
友人一家の死
松崎 天民
Read 友人一家の死 (ゆうじんいっかのし) by 松崎 天民 (まつざきてんみん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,805 characters · 14 screens
翌日は教会堂で、今井の葬儀が営まれた。薬屋の司会で、小学校長の説教、理髪床の主人の聖書朗読に次いで、祈祷もあったし、感話もあった。石田は泣いて故人との友情を語り、僕もまた東京から従いて来た仔細を言葉少く述べた。――東京で淋しく死だ今井も、故郷の人達の友情に依って、こんなに手厚く葬られる。自分も最後の呼吸を引取る時には、故郷の人々の腕に縋りたい――。僕はこんな事を述べて、涙ぐましい心持になった。
桜堂の山の半腹にある墓場には、細君の墓標が淋しく立っていた。今井君の墓穴はその墓標の隣に、小さく掘り下げてあった。讃美歌を歌い、祈祷をささげた後、白木の骨箱を埋めて、土塊を投げ込んだ時、コロコロと侘しい音がした。その音は、今井と僕との永久の別れを告げる悲しい響きであった。年上の娘は、顔を両手で隠して慟哭した。人々は愁然として、墓場の黄昏を背後にしながら、桜堂の山を下った――。
父の骨よりも早く東京を立った長男のTは、その夜、病み疲れた身体を、母の実家に横えることが出来た。「これでもう大丈夫、病気も楽になったような心持がします」と云って、十九になるTは、心から嬉し気に微笑んだ。