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こきんしゅうまきのご
古今集巻之五
山本 周五郎
Read 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 21,482 characters · 43 screens
永井の傷心のことは岡本の手紙で知っていたが、日が経っても少しも軽くなるようすがない。妻に死なれたことが、こんなにも深いいたでを残すものだろうか。河森はそれを理解しようともせず、ただよけいな世話をやくばかりだから、却って永井をうるさがらせ、気持をめいらせるだけのようである。……老職のあいだに、永井の中老任命の案が出ているが、永井がいまのような状態だと、ちょっとむずかしくなるのではないかと思う。それにつけても、河森のおせっかいは困ったものだ。
そして間崎重太夫は、丹野の手紙を反証するように、「永井には中老就任の気がないようだ」と書いて来た。日常のようすも好ましくない。江戸へ来たのは、やがて中老に任ぜられるため、老臣たちに前披露をする意味を含んでいる。にもかかわらず、永井はいちど挨拶まわりをしただけで、その後はどこへも寄りつかない。人づきあいも悪く、激しい口論もたびたびやったようだ。こんなことでは国許へ帰すほうがよい、という意見もある。そこもとから汲田へ話したうえ、そちらの意向を聞かせてもらいたい。
この間崎重太夫の手紙を持って、私は汲田へ相談にゆくつもりである。