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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
Read 古句を観る (こくをみる) by 柴田 宵曲 (しばたしょうきょく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 166,028 characters · 333 screens
の一語によって、この肴売が一人でないことがわかる。肴の荷を曳いて走る魚河岸の若い者では、「霜しろく荷ひつれけり」はうつるまい。但一人でないから、幾分賑な様子はこの句からも窺うことが出来る。
鳴雪翁の句に「初霜をいたゞきつれて黒木売」というのがあった。同巧異曲であるが、霜を帯びたものを荷うという点からいえば、あるいは黒木の方がふさわしいかも知れない。
鶴声の句は「霜しろく」で意味を切って、霜白き朝を肴売が畚を荷いつれて行く、という風に解することもあるいは可能であろう。即ち「霜しろし荷ひつれたる肴畚」の意に取るのであるが、これには多少の無理がある。「霜しろく荷ひつれけり」と続く以上、霜白き畚を荷いつれた意に解する方が、先ず妥当であろうと思う。
水風呂に戸尻の風や冬の月 十丈
水風呂というのはもと蒸風呂に対した言葉だ、という説を聞いたことがある。橋本経亮などは、塩浴場に対する水浴湯ということから起ったので、居風呂という名は誤だろうといっている。いずれにしても現在われわれの入るのは水風呂のわけである。この句もスイフロで、ミズブロではない。
風呂に入っている場合、戸尻が透いていて、寒い風が吹込んで来る。