Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Read 可愛い山 (かわいいやま) by 石川 欣一 (いしかわきんいち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 98,791 characters · 196 screens
やがてランプがついて、男ばかり五人、飯の卓に向う。岩魚は重吉が二匹、北沢が二匹、都合四匹その日釣り上げたのと、前日のが二匹残っていたのとで六匹。串にさして火にかざすと何とも言えぬ香がする。
食卓の向う側では重吉が、大きな鍋からモヤモヤと湯気の立つ物を皿に盛りわけている。熊の肉である。岩魚と熊の肉と、いずれも私にとっては初物だから、百五十日生きのびる勘定になる。
さて岩魚は、何と言ってよいか判らぬ程うまかった。鮎よりも、もうちっと油があって肉が多い。何、山の中で食ったのだから……という人があるかも知れぬが、同じ山の中で食ったのにしても、熊の肉だけは珍味ながら一片か二片で閉口して了った。
もっとも岩魚は釣ったばかりである。熊は冬とった奴の塩漬である。かるが故に比較は出来ぬであろう。
この熊は大きなものであったに相違ない。二階に敷いてある皮は、長さが六尺以上ある。雌で、子供を二匹連れていた。その二匹は宮本さんが犬のようにして飼っているが、翌朝までは出すことが出来なかった。運動時間がきまっているのである。
食事が済むとすることがない。下の釜から山のように火を持って来て炉に入れ、ゴロゴロとねそべって話をする。