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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
「来ただけじゃねえんだから、あっしゃみずくせいっていってるんですよ。ね、せっかくあっしがああやってわざわざお出迎いにいってやったのに、ちくしょうめ、おかしなまねをしやがって、あっしの顔みるてえと、じゃまなやつが出やがったなんていうようなつらしながら、赤くなってまた逃げてきましたぜ」
「ほんとうなら、少し変だな」
「だからこそ、いつあんな小娘を手なずけたんですかって、きいてるんじゃござんせんか。もうあんな色っぽい手管おぼえやがって、それとも、だんながあっしの顔みたら逃げてかえれとでも悪知恵つけておいたんですかい」
相手はなにしろまだ九つか十ぐらいの小娘なんでしたから、たとえどんなに色っぽくまっかな顔になって逃げかえったにしても、それをただちに右門とおかしな仲ででもあるかのように思う伝六もちっと酔狂がすぎますが、しかしその報告がもし事実としたなら、相手が小娘だけに、右門も少しいぶかしく思ったので、もう一度たずねてくるかと心待ちに待ちました。
しかるに、この奇怪なる来訪者は、右門の予期を裏切って、いぶかしきなぞの雲に包まれたまま翌日となりました。翌日もむろん前日にまさる炎暑でしたが、勤番は半日交替で午前中にひけるはずでしたから、伝六の怪しげなる腕まえによって調理された朝食を喫すると、あまりぞっとしない顔つきで、むっつり