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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
ました。
「ずいぶん待たしやがった。さ、伝六! どうやらむくどりが一匹かかりそうだから、あの女から目を放すなよ」
「えッ、女……? どこです? どこです?」
「あそこを行くじゃねえか。ほら、みなよ。黒っぽい明石の着付けで、素足に日傘をもったくし巻きのすばらしいあだ者が、向こうへ行くじゃねえか」
「な、な、なるほどね。どうやら堅気の女じゃねえ様子だが、あいつに目を放さなかったら、暑気当たりの薬にでもなるんですかい」
「よくも口のへらないやつだな。ひょうきん口をたたいている場合じゃねえんだよ。ずいぶん暑い思いをさせやがったが、あのあだ者が、今うわさに高いくし巻きお由にちげえねえんだ」
「えッ、くし巻きお由……? くし巻きお由っていや、きんのうもご番所でやつのうわさが出ましたっけが、この節浅草を荒らしまわる女すりじゃござんせんかい」
「だろうとにらんだればこそ、目を放さずにいろといってるんだ」
「でも、深川のまま母は、あいつじゃござんせんぜ」
「うるせえや、見てろといったら見ていろい!」
はげしくしかりつけましたものでしたから、無我夢中ながら伝六も必死に目を放さないでいると、くし巻きお由と目ききされたそれなる疑問のあだ者は、どうしたことか、手にちゃんと日傘をもっているくせに、それをすぼめたままで、ごった返している人込みの間を右