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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
くりからもんもんの勇ましいところが、四半ときばかり力を合わせたとみるまに、案の定、かまどの下にはぽっかりとぶきみをたたえた古井戸の大きな口があいたものでしたから、それからあとはつねに不死身の頭の役で――、ひんやりと夏なお冷たき怪みたっぷりの古井戸へ、するするとなわを伝わりながら降りていったと思われましたが、同時に水の音があったと思うと、地の底で陰にこもる叫び声が聞こえました。
「だんなだんな、おめがねどおりだ。氷のように冷えきった裸んぼうの仏ですぜ」
時をまたずに引き揚げてみると、それこそは実に小娘お静の父親なるあの浪人者のいたましき死骸だったのです。しかも、うしろ袈裟に刀傷を二太刀も見舞われて、――そして、その刀傷でもわかるように、くくされている不貞な妻女についてどろを吐かせてみると、下手人はいうまでもなく、すでに自身番預けの身となった身分ありげのあれなる老人の侍でありました。その老人の侍こそは、また身分ありげの侍とにらんだとおり、中国出石藩の老職で、だからお静の父なる浪人者の藩名もそれでわかったわけですが、同時にその藩を追われた真実の原因も、実はそれなる老職がまえからくだんの妻女に年がいもなく懸想していたためで、まずその目的を果たすためには浪人させる必要があるというところから、君侯に讒を構えてまんまと