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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
日本橋へ立て札を掲げるほどの人殺しがあって、お番所へ殺された身内の者から訴えが来ていねえはずはねえんだ。訴状箱ひっくり返してみりゃ、どこの権右衛門だかすぐとわからあ」
「なるほど、それにちげえねえ。そういわれてみりゃ、きょうはまたいっぺんもお番所へ顔を出さねえや。じゃ、お待ちなせえよ、四丁肩で勇ましいところをひっぱってめえりますからね」
まをおかずに、そこへ替え肩づきのたくましいところを二丁ひっぱって帰りましたので、ただちに右門は息づえをあげさせると、まず第一着手に数寄屋橋お番所へ駕籠先を向けさせました。
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行ってみると、果然、訴状箱の中には、恒藤権右衛門とこそ明記はしてありませんでしたが、朝ほど子どもを連れた女が、夫の討たれた旨を訴えに来たことがちゃんとご記録帳にのせられてありました。幸運なことには、破牢事件の騒ぎのために、まだだれもご検視にすらついていないことがわかりましたものでしたから、道灌山裏としるされてあったその居どころをたよりに、右門主従は一路駕籠を飛ばしました。
今でこそ道灌山かいわいは市内のうちになっておりますが、当時はむろんわびしい武蔵ガ原で、旗本、小大名のお茶寮が三、四軒、ぽつりぽつりと森の中に見えるばかりといったような江戸郊外でしたから、訴えのごとき殺傷事件のあった家はただちに