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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
いや、それよりもいっそうあわをくらったのは、くま使いのひとくせありげな遊芸人たちで、どやどやと左右から飛び出してくると、口をそろえながら必死にいいました。
「な、な、なにを血迷ったことをしやがるんだ! だいじなくまなぞを、そんなもので突き殺されてたまるけえい! どけッ、どけッ」
いうや、大手をひろげてその行く手をさえぎろうとしましたので、突きのけておくと右門は小気味のいい啖呵を大音声できりました。
「見そこなうなッ。おれが八丁堀のむっつり右門だ。江戸じゅう残らずの者の目をかすめることができても、むっつり右門だけはできが違うぞッ! さ! 黙山! かまわずに、そっちの雄ぐまを突け突けッ」
下知を与えると、どんどん檻の前へひっぱっていって、右の大きな雄ぐまを目がけながら必死と突きを入れさせました。なにしろ、一方は自分の兄がくまにやられたとばかり無心に信じきっている少年です。しかるに、相手の突かれるくまのほうは、悲しいことに檻の中という不自由な場所にいたものでしたから、身をかわすべきすべもなく、哀れ三突きめの鋭い切っ先にぐさりとその脾腹をやられて、うおうと一声、けもののような人間のようなわけのわからないうめき声を発しながら、あけに染まってのけぞりました。