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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
た。
「ぶしつけなお尋ねにござりまするが、お多忙なおからだをもちまして、なにゆえまた殿さまはかように突然ご帰国なさったのでござりまするか」
「えっ? 帰国の理由……?」
と――どうしたことか、不意に伊豆守が不思議なほどな狼狽の色を見せて、右門の鋭い凝視をあわててさけながら、濁すともなくことばを濁されましたので、あれかこれかと心の中にその理由についての推断を下していましたが、まもなくはッと思い当たったものがありましたから、右門は突然にやにやと微笑すると、ずぼしをさすよういいました。
「上さまは――将軍さまは、この二、三年とんと日光ご社参を仰せいだしになりませぬが、もうそろそろことしあたりがご順年でござりまするな」
「そ、そ、そうのう。そういえば、もう仰せいだしになるころじゃのう……」
案の定、ずぼしが命中したか、日光ご社参と聞くと伊豆守の顔色にいっそうの狼狽が見えましたので、もうこうなれば右門の独擅場でした。いつも公表するのが例であるご社参を、なにがゆえに今回にかぎりかくも厳秘に付しているか、まずその点についての見込みをつけて、しかるうえに伊豆守の突然な帰国の事実と、同時のように突発したこの事件とを結びつけて推断したなら、おそらく二日とたたないうちに下手人の摘発ができるだろうという自信がついたものでしたから、右門