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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens

Aozora Bunko

なんしろ、時が時だし、人出もあのとおりの人出なんだからね。とちっちゃならねえ、男をたてずばなるめえと思ったればこそ、だんなが御用というまで、がまんにがまんをして待っていたんですよ。ところへ、お顔が下馬札の陰からぬっとのぞいたんだ。うれしかったね。え、だんな。考えてもみりゃいいというのはここですよ。きのうやきょうの仲じゃねえんだからね。死なばもろとも、出世もいっしょと、口にこそ出して約束したんじゃねえが、あっしが女だったら、人さまにやかれるほどもうれしい仲なんだ。なればこそ、しめたとばかり――」

「うるさいね」

「いいえ、きょうはいうんだ。なにも、ああまで人前で恥をかかせなくともいいんだからね。きょうは腹の虫がいえるまでいいますよ。うるさかったら、だんなもとっくり考えてみりゃわかるんだ。いまかいまかと待っていたところへ、ぬうとお顔がのぞいたんでね、さてこそおれの出幕だ、話せるね、いい気性だよ、あっしに花を持たせるおつもりなんだと思ったればこそ、喜んで勇んで飛んでもいったのに、ありゃなんです。あのまねゃなんです! ぬうと出して、ぬうとそっぽを向いて、ありゃいったいなんのまねですかよ!」