Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
自身もまたそれが恐ろしいとみえて、しきりとびくびくしながら、うしろ、前、左右に絶え間なく目を配って探ったが、しかしそれと思わしい者の影はない。だのに、名人がまた知ってのことか、わざとにか、いっこうにむとんちゃくなのです。つけていようがいまいが気にも止めないような様子で、さっさと通りを急ぎながら、やがて目ざしていったところは、そこの京橋ぎわの老舗らしいひと構えでした。
見ると、夜目にもそれとわかる大きな看板がある。
「加賀家御用お染め物師 紅屋徳兵衛」
としてあるのです。
「えへへ。なるほど、そうでしたかい。なるほどね」
およそ途方もなく気の変わる男でした。鳴りに鳴っていたのに、血めぐりの大まかな伝六にも、加賀家お出入りの染め物師とある看板を見てはぴんときたとみえて、たちまち悦に入りながら、声からしてが上きげんでした。
「やけにうれしくなりゃがったね。このくれえのことなら、いくらあっしだっても眼がつくんですよ。それならそうと、出がけからいやいいのに、草香流が湯気をたてているのなんのと荒っぽいことをおっしゃったんで、あっしゃてっきりおどし文句の本尊の根城にでも乗り込むんだろうと肝を冷やしていたんですよ。