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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens

Aozora Bunko

たんだ。いやがらせはいいたくねえがね、あっしゃくやしいんですよ。だから、ちくしょう、ひとりで目鼻をつけてやろうと、けさ起きぬけにお番所へ出かけていったら――」

「何がどうしたというんだよ」

「人ごろしがあったっていうんですよ」

「ウフフ。つがもねえ。八百八町は広いんだ。ねこの心中もありゃ、人も殺されるよ。それで、おまえさんは悲しくなって、めそめそとやりだしたというのかい」

「バカにおしなさんな。人が殺されて悲しいんじゃねえんですよ。こっちゃ鼻欠け地蔵の目鼻もつかなくてくさくさしているのに、お番所のやつら、てがらにするにゃはでな人ごろしが降ってわいたというんで、わいわいと景気をつけていたからね。それがうらめしくなって、気がめいったんですよ」

「気の小せえやつだな。日の照るところもありゃ、雨の降るところもあるんだ。殺されたのはいってえ何人だよ」

「四人ですよ」

「身性は?」

「五分月代ばかりですよ」

「へえ。浪人者かい。じゃ、みんなばっさりやられているんだな」

「いいえ、それがちっとおかしいんだ。ふたりは刀傷だが、あとのふたりは血を一筋も出さずに伸びているというんですよ」