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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
三町も離れているくせに、仲よく向き合って切られているのがおもしろくねえんですよ。え! ちょいと!」
「…………」
「じれってえね。何がうれしいんですかよ。黙ってにやにやとあごをなでていらっしゃるが、だんなにゃこの死に方がお気に召しているんですかい」
いろいろともうやかましく始めたのを相手にもせず、黙々とたたずみながら、死骸から死骸へ、道から道へ、倒れているその位置とその道筋をしきりと見ながめ、見返していましたが、そのときはからずも目についたのは、一真寺の反対側の本港町の曲がりかどにある一軒の酒屋でした。寺の裏門からずっと出て、死骸を越えて、一本道をまっすぐたどっていったその曲がりかどに、杉の葉束の酒屋のしるしが、無言のなぞを物語り顔につるされてあるのです。
「ウフフ。におってきたな」
さわやかに微笑して、疑問の死を遂げているまんなかのふたりの死骸に近づくと、静かに名人はまず懐中へ手を入れました。
同時にさわったのは金包み!
一方の懐中から切りもち包みが一個。
あとの懐中からも同じく一個。
双方合わせると五十両のおろそかでない大金が、がぜん出てきたのです。