Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
何もかもこの右門胸にたたんで、こっそりお見送り申しましょうわい」
「わかりました。参りまするでござります……」
とぼとぼと力なく足を運んで、卒塔婆、新墓立ち並ぶ裏墓地を通り抜けながら、罪の蓮信坊は寺社奉行所目ざしつつ、悲しげに裏門をくぐりました。
見送りながら、右門主従も静かに出ていったその出会いがしら!
「おじさん! 八丁堀のおじさん! 珍念でござります!」
くるくると愛らしげに目を丸めながら、ころころと向こうから飛んできたのは、あの豆お小僧珍念です。
「おう! 来ましたのう! 手にささげているはなんじゃ」
「お約束のおはぎでござります。あの、あの、今度おじさんにお目にかかりましたら、お地蔵さまともご相談しておもてなしいたしますと約束いたしましたゆえ、こちらにお越しとききまして、このとおり急いで川向こうから持って参じましてござります」
「ウフフ。賢いことでありますのう。なるほど、そんなお約束をいたしましたな。では、遠慮のういただきましょうよ」
「あい。どうぞたくさん……」
くるくると愛らしく丸めながらふり仰いだ珍念の黒い小さいひとみには、うれしさ余ってか、清浄な、純真な涙の露が見えました。