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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
「兄貴ゃどうしたい」
「え?」
「伝六太鼓はどこへ逐電したかってきいてるんだよ」
「それが、じつはちっとのんきすぎるんで、あっしもさっきから少しばかり腹だてているんですが、半年のこっちも一つ釜のおまんまをいただいているのに、兄貴の了見ばかりゃ、どう考えてもあっしにわからねえんですよ」
「やにわと変なことをいうが、けんかでもしたのかい」
「いいえ、それならなにもこうして、ぼんやりしているところはねえんですがね、今から両国へ気保養に行くんだから、だんなの雲行きの変わらねえうちに、はええところいっちょうらに着替えろと、火のつくようにせきたてたんで、いっしょうけんめいとしたくしたら、あきれるじゃござんせんか。おれゃちょっくら朝湯にいって、事のついでに床屋へ回ってくるから、おとなしく待っていなよっていいながら、どんどん出ていったきり、いまだにけえらねえんですよ」
「あいそのつきた野郎だな。あわてるときはあわてすぎやがって、気がなげえとなりゃ長すぎるじゃねえか。あいつはきっと長生きするよ。かまわねえ、ほっといて出かけようぜ」
「だいじょうぶですかい」
「あいつのことだもの、鳴らしながら追っかけてくるよ」