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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
「ほほう。ご家人だな」
「え?」
「ここのおやじはご家人だなといってるんだよ」
「やりきれねえな。おいらが汗水たらして洗ったネタを、だんなときちゃ、ただのひとにらみで当てるんだからな。どうしてまたそんなことがわかるんですかい」
「またお株を始めやがった。この一郭は大御番組のお直参がいただいている組屋敷町じゃねえか。直参なら旗本かご家人のどっちかだが、この貧乏ったらしい造りをみろい。旗本にこんな安構えはねえよ」
まず一つ伝六を驚かしておくと、八丁堀の名物の巻き羽織のままで、案内も請わずさっさと通りました。しかるに、構えの中へ通ってみると、少しくいぶかしいことには、表付きの貧弱なるにひきかえ、家うちの器具調度なぞのぐあいが、ただのご家人にしてはいたくぜいたくなのです。
「はてな、目が狂ったのかな」
いうように、じろじろと見ながめていましたが、事の急は非業を遂げたとかいうそれなる女の検死が第一でしたから、まず現場へと押し入りました。
ところが、その現場なるものがまたひどく不審でした。寝所らしい奥まった一室であったことに別段の不思議はなかったが、旗本ならいうまでもないこと、いかに少禄のご家人であったにしても、事いやしくも天下のご直参であるからには、急を聞いて三人や五人、親類縁者の者が来合わせているべきはずなのに、死体のそば