Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
心底からの狂人ならば、白刃が鼻先へ襲ってこようと、矢玉が雨とあられに降ってこようと、びくともするものではあるまいと思われたのに、名人の看破どおり、一時の逆上であったものか、たじたじと老大尽がうしろに身をひくや、ふッと我に返ったもののごとく、きょときょととあたりを見まわしましたので、また噴水を始めたのは伝六です。
「へへいね。命がほしかったところを見ると、やっぱりへその中は暖かかったのかね」
いったことばに、老大尽がいぶかしそうに右門主従を見つめていましたが、辰のからめとっている黒ねこを発見すると、おどろきながら呼びかけました。
「おお、黒か、黒か! おまえもここにいたか」
その声に答えるもののごとく、怪猫がニャゴウと鳴きたてましたものでしたから、名人の口辺に静かに微笑がのると、物柔らかな問いが発せられました。
「そなたのねこであるか」
「へえい。なくなった娘が、命よりもたいせつにかわいがっていたやつにござりまするが、どうやらお見かけすれば、その筋のかたがたのようなご様子。どなたさまにござりましょう」
「わからぬか」
「と申しますると、もしや、あの、むっつり右門の……」