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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
すると、右門がうるさいといわんばかりに、ずばりと答えました。
「人を見て法を説けというやつだよ。かりそめにも、に組の鳶頭っていや、侍にしたら城持ち大名ほどの格式じゃねえか。高飛びすりゃしたで顔がきいているからすぐにわかるし、また江戸っ子のちゃきちゃきが、そんなぶざまなまねもしめえじゃねえか。大船に乗った気で、晩のおかずの心配でもしなよ」
女もいらじ、金もいらじ、ただのぞむものはおいしいものばかりといいたげに、ごくおちついていたものでしたから、伝六もそれっきりむだな問いを発しませんでしたが、しかし、そう見えながらむっつりとおし黙って、例のおなじみのあごひげをまさぐりまさぐり、不断になにごとかを考案くふうしているのが、いつもながら捕物名人の癖です。果然、なにごとかくふうがついたとみえて、その夜のかれこれもう二更すぎたころでした。
「さ、伝六! お出ましだッ」
むくりとこたつからはい出ると、おおかた人々が寝に就こうというそんな夜ふけに、ふいっと外出のしたくを始めましたものでしたから、ぎょうてんしたのはいうまでもなく伝六です。
「この寒いのに、正気ですかい」