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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
「ふうんのう――しかし」
「いえ、断じて眼の狂いござりませぬ。第二の証拠は両名の太刀でござりますゆえ、比べてようごろうじなさりませ。両人が互いに相手を仕止めて落命したならば、二本とも太刀には血のあぶらが浮いているべきはずなのに、辰の得物にはそれが見えても、専介どのが所持の一刀にはなんの曇りも見えないではござりませぬか」
名人右門の明知によって、がせん事件はここにいくつかの不審がわき上がりました。死体は行儀よく顔と顔とをつき合わするようにして並びながら倒れているのに、受けているふたりの傷は向こう傷でなく、うしろからやられたうしろ袈裟とは、いかにも奇怪至極です。しかも、辰の刀には人を切った血の曇りがあるのに、相手の専介の一刀にそれがないとは、いよいよもって不審千万!――
「しからば――」
「なんでござります」
「専介を討ったは辰に相違ないが、辰を切ったはほかに下手人があると申すか」
「いえ、おめがね違いでござります」
当然の帰結として、伊豆守の下した推断を名人は軽く押えると、ずばりと言い放ちました。
「専介どのを討ったのは辰でござりませぬぞ」
「なにッ。辰でもないとな! たれじゃ! たれじゃ! しからば、ふたりとも他の下手人の手にかかったと申すか」