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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
といっしょで、感謝あまったものか、江戸錦が、うしろ手にいましめられたままの大きなからだをがばとそこへ折り曲げると、右門のほうを伏し拝むようにしながら、白州の砂礫にしみるほどな大粒の涙をぼろぼろとはふり落としました。
しかし、右門はいつもながらの右門でした。いたたまらないもののごとくこそこそと逃げていったあばたの敬四郎のうしろ姿を笑止げに見送りながら、そのいましめをぷっきりほどいてやると、物静かにいいました。
「もうこうなりゃ、右門というあっしがお味方だから、お血筋の真柄家を再興するなり、おすきならば関取り修業を励むなり、お気ままにしなせえよ。――では、伝六、そっちの湯づけのほうは揚がり屋敷へおっぽり込んでおいてな、江戸錦どんとあとからゆっくりやって来なよ。豪気に寒いようだから、お近づきのしるしにお関取りといっしょで寄せなべでもつつこうじゃねえか」
言いおくと、ふところ手の中からあごをなでなで、ゆうぜんと歩み去りました。
――これは余談ですが、人はやはり身に備わった芸技と、その命運の示すところに左右されるものとみえて、りっぱなお直参にもなれる身分でありながら、断然江戸錦は関取修業をつづけ、のち三年にして関脇の栄位を修め、恰幅貫禄ならびにその美貌から、一世の人気をほしいままにしたということでした。