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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

召しあがるのはせいぜいふた口か三口のことであろうが、おあがりになるおかたは八百万石の将軍家、献上するのは百万石の大納言、事が大きいのです。それをずばりと、ただのひとにらみでにらんだ名人の眼のさえもまた、たぐいなくすばらしいことでした。

しかし、それでなぞが解けきったのではない。第一は、この変死の裏に、なにごとか恐ろしいたくらみと秘密があるかないかの詮議です。恐ろしい秘密があるとしたら、なにもののしわざか、第二に起こるなぞは、いわずと知れたその詮議です。

第三には、変死人の素姓。

それと顔いろを読みとって、ここぞとばかりしゃきり出たのは伝六でした。

「あのえ。だんな。少々ものをお尋ねいたしますがね」

「なんだ。うるさい」

「いいえ、うるさかねえ。さすがにえらいもんさ。ちょいとにらんだかと思うと、こいつア雪だとばかり、たちまち眼をつけるんだからね。あっしも雪で死んだに不足はねえが、それにしたって、なにも人が殺したとはかぎらねえんだ。自分で雪にはまったって、けっこう死ねるんだからね。気に入らねえのはそれですよ。えらそうなことをいって、もしもてめえがすき好んで凍え死んだのだったら、どうなさるんですかえ」