Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

またたくひまに、あの奥祐筆松坂甚吾のお小屋を見つけたとみえて、左並びの三軒めの前から、しきりと手を振りました。

「おりそうか」

「いるんですよ。年もちょうど二十三、四、まさにまさしくべっぴんの女ですよ。ほらほら、あの障子に写っている影がそうです」

なるほど、玄関わきから小庭をすかしてみると、日あたりの縁側の障子に、なまめいた女の影法師が見えるのです。

しかし、それにしては屋のうちの静まりすぎているのが少し変でした。とにもかくにも、この家のあるじが変死を遂げたというのに、声一つ、話し声一つきこえないばかりか、人の足音、物の音もひっそり絶えて、さながらに死人の家のようでした。

「少々おかしいな。こいつ、ちっと難物かもしれねえぞ……」

庭先からはいっていくと、静かに上がって、するすると音もなく障子をあけました。

同時です。たたずんでいた影法師が、ぎょっとなってふり返りました。

しかも、その顔、その色、――血のけは一つもないのです。まるで死人のように青いのです。ばかりか、全身に恐怖のいろを現わしながら、ぶるぶると震えているのです。

じろり、じろりと、しばらく女の姿を見ながめていましたが、意外な眼です、ずばりと思いもよらぬ声が、名人の口から放たれました。