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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

これでお許しくださればしあわせにござります」

素姓の意外はとにかくとして、すらすらと書き流した字のうまさ。じつにみごとです。

じろりじろりと目を光らしながら、いま書いたその文字と、書き置きの字とを見比べていましたが、ふふんというように白く笑うと、やんわりあびせました。

「争われないものさ。似ているね」

「な、なにがでござります」

「同じ人間が書いたものは、どうごまかそうとしたって似ているということよ。いま書いた字と、書き置きの字とはそっくりじゃねえか」

げえッ、というように青ざめて、やにわにしげ代と名のったその女中が、二枚の紙をわしづかみにしながら逃げ出そうとしたのを、

「神妙にしろい。おいらをだれだと思ってるんだ」

ぴたりと押えてすわらせると、たたみかけた啖呵もまた急所をえぐりました。

「慈悲をかけねえっていうわけじゃねえ。出ようしだいによっては、いくらでも女にやさしくなるおいらなんだ。むっつりの右門がむだ石を打つかい。べらぼうめ。おまえのその手の墨はなんだ。そでの墨はなんだ。こいつめ、にせの書き置きを書きやがったなとにらんだればこそ、おまえの字を知りたくて、わざわざ一筆ものさしたんだ。