Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

あの中に寝ているから、万事抜からねえようにやるんだぜ」

「あいきた。わかったよ。出てきたら、合い図にあのうちの前の土手でちょうちんを振るからね。すぐに来ておくれよ」

小ざるのように飛んでいったのを見送りながら、つなぎ捨ての小船の中へ降りていくと、身を忍ばせて合い図を待ちうけました。

事ここにいたっては、伝六ももう鳴りどころの騒ぎではないのです。船へはいるから十手にうねりをうたせて、いまかいまかと目をさらにしながら待ち構えました。

のび上がり、のび上がり、待ちわびているうちに、四半刻、半刻と夜が沈んで、しだいにしんしんとふけ渡りました。家のあかりもまた一軒一軒と消えていって、ふわり、ふわりとえり首をなでる夜風の気味わるさ、ぱったりと人影もなくなりました。

もうそろそろ合い図があってもいいころです。

と思ったせつな――ちらちらとはげしく土手の向こうであかりが動きました。

「それ、きたぞ! さあ来い! お櫃娘、すべって川におっこちますなよ」

ぱっとこうもりのように飛び出した伝六のあとから、ひたひたと名人も足音ころして追いかけました。

「どっちだ!」

「あそこ! あそこ! あのへいかどを左へ曲がっていくふたりがそうですよ」