Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

同時に、名人のからだが、はっとなったように泳ぎだしました。

あるのです。

不思議な船が、大川岸に四艘、小堀の中に三艘、人待ち顔につないであるのです。

それもただの不思議ではない。七艘ともにしめなわを張って、どの舟の船頭もまた一様に同じしめなわを腰へ巻きつけ、人目にたたぬように船龕燈をそででおおいながら、いまかいまかと舟宿から出てくる客を持ちうけている様子でした。

「ほほう、そろそろとにおってきたな。うなぎのにおいだか、めざしのにおいだか知らねえが、ただのにおいじゃねえようだぜ。引っこんでな! ひょこひょことそんなところへ顔を出すなよ!」

しかって、ぴたり、へいぎわへ身をよせた主従の耳へ、船宿の裏二階から小さくそっと呼んだ小女の声が聞こえました。

「船頭さん、おしたくは?」

「いつでもいいよ」

「そう。じゃ、はぎの間のお客さんからお送りするからね。順々にこっちへ舟をたのみますよ」

ギイギイと、艫音をころしながら忍び寄ってきたのといっしょに、板べいがぽっかりと口をあけて、案内の小女のあとから、あたりをはばかりはばかり、女の姿が現われました。

十七、八の、まだ肩あげもとれないような下町娘なのです。