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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens
女だ!――心の秘密はわかるものでない。虫も殺さぬような美しい顔をしていて、じつはとうからもう喜七虫がついていたかもしれないのです。
それにしても、もどかしいのはその喜七の何者であるか、さらに目鼻のつかないことでした。
暑い日ざかりでした。
青い顔でした。
悲しげな目の色でした。
「効験あらたかってえおまじないはねえのかな。ね、ちょっとあごをなでてみてごらんなせえよ。なんとかなるかもしれねえんだから……え、ちょっと」
「…………」
「あやまったな、もういっぺんたこになれってえなら昼湯にでも晩湯にでもいって、いくらでもゆだりますよ。あっしゃだんなのその悲しそうな顔をみると、おまんまがまずくなるんだ、ね、ちょっと。うそにでもいいから、笑っておくんなせえよ」
「ウフフ……!」
「え、ほんとうですかい。ほんとうに笑ったんですかい」
「ほんとうさ。おいらが笑や、ひと笑い五千両の値がするよ。すんでのことに、むっつり右門も世をはかなむところだった。いくらかおいらも焼きが回ったらしいよ」
「へいへい。なるほど。それで……?」
「たいへんなことを見のがしていたのよ。こんなバカなはずはねえ。