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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Read 名人地獄 (めいじんじごく) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 149,286 characters · 301 screens
をもって、無理に会見を申し込みながら、先方が承知して待ち構えているのに、わざと行かずにじらしたりして、敵をして奔命に疲労れさせようとした。そうしていよいよ今日となり、師匠秋山も来たところから、一旦根拠地へ引き上げた上、急速にしかし堂々と、赤格子攻めをしようというので、今や勇んでいるのであった。
鼓賊旅へ出立する
船は白波を高く上げ、九十九里ヶ浜の沖中を、北へ北へと走っていた。
いま酒宴は真っ盛りであった。
秋山要介の左側には、金子市之丞が坐っていた。総髪の大髻、紋付きの衣裳に白袴、色白の好男子であった。その二人を取り巻いて、ガヤガヤワイワイ騒いでいるのは、さっきまで、要介を向こうへ廻し、切り合っていた海賊どもで、白布で手足を巻いているのは、いずれも要介に船板子で、打ち倒された者どもであった。いわゆる山海の珍味なるものが、あたりいっぱいに並んでいた。眼まぐるしく飛ぶは盃で、無茶苦茶に動くのは箸であった。牛飲馬食という言葉は、彼らのために出来ているようだ。
「どうやら最近赤格子めは、散在していた手下どもを、大分集めたということだが、ちと手強いかもしれないぞ。