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めいきょくけっていばん
名曲決定盤
野村 あらえびす
Read 名曲決定盤 (めいきょくけっていばん) by 野村 あらえびす (のむらあらえびす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 344,837 characters · 680 screens
ほとんど旋律らしい旋律をさえ持たない、素人には面白くもなんともないヴァイオリン曲を、シゲティーは平然としてそのプログラムに並べるのである。
シゲティーはその時、新時代への音楽の行者のごとくさえ見えるのであった。ヴァイオリンの奏する奇怪なレシタティヴォにつれて、伴奏のピアニストが、ピアノの胴を平手で叩くのさえ私は聴いたことがある。シゲティーはその奇怪な近代楽曲を、心から享楽しているかに見えるのはなんのためであろう。同じく近代楽をプログラムに載せても、シゲティーとハイフェッツの間には、愛着と誇示と、理解と衒気との違いがある。
シゲティーのヴァイオリンの特色は、その芸術的気稟と、知的な良さである。古典の大曲に対する解釈の高雅さと、近代楽の小曲に対する理解と愛情とである。従ってシゲティーの一枚物から、代表作を抽き出すことは甚だむずかしい。
その師フバイの曲『ツァルダの光景』(コロムビア・J五一七五)、古い吹込みではあるが、この一枚は加えなければなるまい。シューベルトの『ロンド』も最上等の演奏ではないが、捨てがたいレコードである。
シゲティーの特色を現わしたものとしては、シマノフスキーの『アルチューズの泉』