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ふぶきのユンクフラウ
吹雪のユンクフラウ
野上 豊一郎
Read 吹雪のユンクフラウ (ふぶきのユンクフラウ) by 野上 豊一郎 (のがみとよいちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 10,544 characters · 21 screens
田舎者が貴顕の前に出た時のように眩惑してしまったのだろう。
二
次の日(五月七日)十六時十六分、私たちはベルンを立ってインターラーケンへ行った。ベルンの標高は約六〇〇米で、インターラーケンも大体似たもので、少し高いが一〇〇呎と差はない。けれども南東へ約六十五キロ進出するから、それだけ「ベルンのアルプス」に接近するわけで、インターラーケンは事実上その登山口である。
インターラーケンへ行く汽車の興味は、アルプスの山々が刻一刻と近づいて、線路の屈曲と共にその山容を変えることの珍らしさに係っている。
ベルンを離れて三十分もたつかたたない頃、ミュンシンゲンあたりで、右手の窓にニーセンとシュトックホルンが顔をのぞけ、左手の窓にメンヒとユンクフラウが眺められる。アイガーも少し遠くではあるが眺められる。ニーセンは「ベルンのアルプス」の歩哨を承ってるような山で、位置も私たちの通り過ぎるすぐ前にあり、独りで淋しそうにしてるが、形は金字塔型のなかなか形のよい山だ。上の方は雪で白く、下の方はまだらだった。
テューンという町には古い城砦があった。そこから湖水が展開して、その縁を汽車は通って行く。