Japanese reading practice

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のろいのダイヤモンド

呪の金剛石

野村 胡堂

Read 呪の金剛石 (のろいのダイヤモンド) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,393 characters · 28 screens

Aozora Bunko

足の勇のやつ、まだ太平楽を言って居ります。仕事には熱心ですが、この若いボヘミアンは、気楽で淡白で、少しばかり横着で、なかなか可愛らしいところのある男です。

「気の毒だが、もう一度その毛唐を探してくれ」

「オイオイ本気でそんな事をいうのかい、おれの腹なんざ減ったって大した事は無いが、社会部長は又いい顔をしないぞ」

「解ってるよ」

「本社も悪い男を社会部次長にしたものさ、おれの足の摺切れる事なんか、何んとも思っちゃ居ない」

「愚痴をいうなよ、『足の勇』ともあろうものが何んだい、兎に角飯でも食いに行こうじゃないか」

二人は間もなく、保険協会の地下室で、洒落た昼飯にあり付きながら、際限もなく冗談を交換して居りました。

「もう一度あの毛唐を探せというのはどういうわけだ。仕事に張合が無くていけない、少し天機を漏らしてくれ」

「足の勇」が、猛烈に皿を代え乍ら、それでも仕事の事が気になると見えて、こんな音をあげます。

「こう言うわけだ……。日本人は宝石に対する知識がないから、従ってその迷信にも一向無関心だが、西洋の物の本を見ると、なかなか面白い事が書いてあるよ。宝石の本場は印度であったように、宝石に関する迷信の本場も印度で、それが紀元前から欧羅巴に流れこみ、いろいろの形ちで、流布したり転化したりしたものらしい。