Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

とさのくにばしら

土佐の国柱

山本 周五郎

Read 土佐の国柱 (とさのくにばしら) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,375 characters · 35 screens

Aozora Bunko

小弥太は叱りつけるように、

「小百合どのなにごとです」

と云いながら坐った。

短刀をぎ取られた小百合は、そこへ突っ伏して泣きはじめた。……母親は真白な顔をして、肩で息をしながら短刀を鞘に納めた。

「どうしてこんな事をなさるのです。拙者が家の妻に迎えると申上げたのを、冗談だとでも思っているのですか」

「小弥太、そのような不作法なことを……」

「不作法は承知の上です」

小弥太は小百合の方へ膝を進めて、

「高閑どののお手から貴女をお預り申したとき、拙者がそう云ったことを御存じでしょう。あれから詫び言を申上げてもお父上は御承引なく、娘は勘当した、死体になって戻るとも家へは入れぬと仰せられる。……それはお父上が、貴女を拙者の妻に下さるお心なのだと思っていました。……貴女はそうお考えになれませんか、それともそう考えたうえ、池藤に嫁すことは出来ぬと思われて」

「いいえ、違います」

小百合は、噎びあげながら遮った。

「わたくし、お情けのほどは身にしみて、有難く、嬉しく存じて居ります。……けれど、どうしても生きてはいられませんの」

「なぜです。その仔細を聞かせて下さい」

云いかけて、小弥太は母に眼配せをした。