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とさのくにばしら
土佐の国柱
山本 周五郎
Read 土佐の国柱 (とさのくにばしら) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,375 characters · 35 screens
小弥太は、馬を飛ばして登城した。
もう十時を過ぎていたが、大変と聞いて忠義は引見を許した。そのとき忠義はまだ十八歳の対馬守であったが、濶達英武の質で事理に明るく、土佐二十余万石の領主として亡き一豊に劣らずと嘱望されていた。……それにしても、若き忠義にとって、斧兵衛叛逆と聞いた驚きは非常なものであった。
「憎いやつ、憎いやつ」
忠義は、面色を変えて怒った。
「直ぐに総登城を触れい。明日とも云わず今宵のうちに、討手を向けて踏み殺して呉れる」
「恐れながらそれは不得策に存じます」
「なにか他にてだてがあると申すか」
「総登城を触れまして、若し其中に一味の者が居りましては一大事、……私が老職どもにも計らず直ちにお目通りを願いましたのもそのためにて、是は隠密のうちに不意を衝き、一挙に事を始末するが万全と存じます」
「方策を申してみい……」
「十六日と云えば明後日、当日早朝、お上には猪狩りを仰せ出されますよう、お旗本の士だけ二百人、勢子として鉄炮足軽五百人、人数はこれで充分と存じます」
「そのような手薄で出来るか」
「鷲尾山の本拠を屠るには充分と存じます。あとはお城がかり、浜手がかり、この方こそ大切でございますが、是は堂上喜兵衛、渡辺勝之助、貫島十郎左どもに、先手組を以て当らせまする」