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ちめいのけんきゅう
地名の研究
柳田 国男
Read 地名の研究 (ちめいのけんきゅう) by 柳田 国男 (やなぎたくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 176,308 characters · 347 screens
あるいは干潟という語は古くあるから東海岸でいうカタの方が本来の意味だというかも知らぬが、干潟はすなわち潟の干たのをいい、むしろただのカタの乾いておらぬことを証する。それを理由にするのは、白熊という語があるから熊は白いというと同じき無茶だ。
前年越後から羽前・羽後へ掛けて旅行した時、信濃川、阿賀野川を始め大小多くの川が、海に入らんとする所で必ず少しずつ右すなわち東北の方へ屈曲しているのを見て、すべてこの海岸には西南の風が強く、かつ多いのではないかと考えたことがある。『筑前続風土記』の巻一にも、国中の川の末北海に入る所はその流れ多くは東へ曲りて海に入る。それゆえは西北の風強くして砂を打ち上げて川口を塞ぎ埋むれば、その水ただちに海に入ることあたわず、川口にて東へ曲り流るるなり。ただし遠賀川は大河にて水流盛んなればしからずとあるのを見て、いよいよそう極めていたのである。しかしさらに細かく考えてみると、物は単純には断ずることができぬ。この場合には少なくもなお二箇の観察すべき材料が残っていた。その一つは砂嘴を構成する砂はどこから来るかということ、二つには川口の附近に何か風位に影響すべき地物がないかということである。