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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Read 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 151,766 characters · 303 screens
こわい顔をして、わしをにらみつけ、ものをいわなくなってしまう。きょうは、どちらが勝つかな。Q、しっかりやるんだよ。」
おじいさんは、Qの方の将棋のこまも、ならべてやって、
「さあ、きょうは、おまえが先手(先にこまをうごかす)だ。このまえ、わしに二度も負けているんだからね。」
そして、人間と機械との、ふしぎな勝負がはじまるのでした。
北見君は、将棋ばんのわきに立って、このきみょうな勝負を見ていました。
北見君も、将棋のこまの動かし方ぐらいは知っていたのです。
はじめのうちは、おじいさんも、何かじょうだんをいいながら、のんびりと、こまを動かしていましたが、勝負が進むにつれて、口をきかなくなり、こわい顔で、ばんをにらみつけ、ただこまを打つ音だけが、ぴしりっぴしりっと、うすぐらい部屋に、ひびきわたるのでした。
鉄人Qの方も、なんだか、ひどくしんけんな顔になっていました。鉄のからだを少しねこぜにして、じっと将棋ばんを見つめているようすは、いかにも生きているようで、なんともいえないおそろしさです。北見君はいよいよ、きみが悪くなってきました。
ふと、うしろの窓を見ると、外はもう夕ぐれどきで、うすぐらくなっていました。