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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Read 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 151,766 characters · 303 screens
」
部下は淡谷さんを、じろりとよこ目でながめ、四十面相のそばによると、その耳に口をつけるようにして、なにか、ぼそぼそとささやきました。
それを聞くと、四十面相は、恐ろしい顔になって、ぐっと淡谷さんをにらみつけましたが、そのまま、部下といっしょに、いそいで部屋を出ていくのでした。
淡谷さんは、なんだか心配になってきました。四十面相が、あんな恐ろしい目でにらみつけたのを見ると、なにか、思いがけないことがおこったのかもしれないのです。もし、スミ子ちゃんをかえしてくれないようなことになったらと、気が気ではありません。
そうして十分も待ったでしょうか。やっと四十面相が帰ってきました。ああ、ありがたい。かれは、スミ子ちゃんの手を引いていたのです。
「おとうさま!」
泣きさけぶような声をたてて、スミ子ちゃんが、淡谷さんにとびついてきました。淡谷さんも、両手で、スミ子ちゃんをだきしめて、しばらくはものもいえないほどでした。
スミ子ちゃんは、うちを出た時のままの服をきていましたが、それが、たいへんしわになっていました。夜も、そのまま寝たのにちがいありません。そして、顔色がわるく、すこし、やせたように見えました。