Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Read 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 145,722 characters · 286 screens
「だって、あたいは考えて歌っているんじゃないのよ」
と答えた茂太郎は、弁信の注意には深い頓着を払わずに、再び歩調を取って歩きつづけ、
あの姉さん
よい姉さん
堺町のまん中で
うんげん絞りの振袖を
口にくわえて
通る時……
淀の若衆が呼び留めて
お前の帯が解けている
「茂ちゃん」
弁信が再び呼びかけたものですから、歌いかけた茂太郎が、
「あい」
「お前、うたうなら子供らしい歌をおうたいよ」
またも干渉を試みたものですから、茂太郎が首を振って、
「なぜ」
「なぜだってお前……鄭声の雅楽を乱るを悪む、と孔子様が仰せになりました」
「え……」
「歌うんなら、子供らしい歌をおうたいなさい、今のようなのはいけません」
「弁信さん、お前、むずかしいことばかりいうんだね、鼻が十六あってはいけないの、孔子様が歌をうたってはいけないのなんて……あたいが一人でうたって、一人で喜んでるんだから、かまわないじゃないか」
「そういうものではありません……では、わたしがひとつ、白楽天の歌をお前に教えて上げましょう」
「白楽天ッてなに――」
「支那の昔の歌よみさ」
「教えておくれ」
「道州の民ッていうのを歌いましょう」
「道州の民ッていうのはなに」